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老犬のトイレの介護
歳を取ると、人間と同じように犬も介護が必要になることがあります。老犬の介護は何年にもわたることもあり、飼い主様にとってもとても大きな負担になります。特に老犬のトイレの解除については負担に感じる方も多いのではないでしょうか?今回は老犬の介護、特にトイレに焦点を当てて解説していきます。
老犬によくあるトイレのトラブル
老犬になると自力でうまく排泄がなり、トイレのたびに介助が必要になることがよくあります。老犬で見られる排泄トラブルの例としては、下記のようなものが考えられます。
・踏ん張ることができない
老化により足腰の筋肉が痩せてしまうと、排泄の時に踏ん張ることができなくなり、うまく排泄できなくなることがあります。
・起き上がれない
病気や事故などが原因で寝たきりになってしまうと、トイレに行くことができないため、尿や便をその場で垂れ流すことになってしまいます。垂れ流し状態だと、肛門周囲や陰部の皮膚が汚れてしまい、皮膚病の原因になることがあります。
・神経の麻痺
重度の椎間板ヘルニアや交通事故などが原因で神経に障害を受けると、膀胱や直腸を支配する神経が麻痺してしまい、自力での排尿や排便ができなくなってしまうことや垂れ流しになってしまうことがあります。
・前立腺肥大
雄犬には前立腺という副生殖腺があります。去勢していない犬では、前立腺が加齢と共に少しずつ大きくなります。老犬になると、前立腺の大きさが顕著になり、前立腺肥大症を発症してしまうことがあります。前立腺肥大症になると直腸を圧迫して排便傷害の原因となったり、尿道を圧迫して排尿障害の原因になったりすることがあります。
・会陰ヘルニア
会陰ヘルニアは去勢していない中高齢の犬で多く発症します。肛門周囲の会陰部と呼ばれる部分を形成する筋肉が萎縮してしまうことで隙間ができてしまいます。軽度であれば形成された隙間から脂肪が飛び出る程度ですみますが、重度になると腸や膀胱、前立腺などが隙間から飛び出してしまうこともあります。膀胱が飛び出ると排尿障害、腸が飛び出ると排便障害の原因になります。
トイレのトラブルの対処法
トイレのトラブルに対する対処法としては、次のようなものが挙げられます。
・おむつを履かせる
尿を垂れ流してしまい、掃除などの管理が大変な場合には犬用のおむつを履かせるのも選択肢の1つです。おむつを履かせることで掃除の手間などは減らせますが、陰部の周りが湿っぽくなり皮膚病を起こしやすくなるため、こまめにおむつを交換する、陰部の周囲を拭いてあげるなどの対応は必要になります。
・尿道カテーテル
尿が垂れ流しになってしまい、体が汚れてしまう場合には「尿道カテーテル」と呼ばれる管を設置し、排泄された尿を袋などに溜めて置けるようになります。尿道カテーテルを病院で留置してもらえば自宅での管理も楽になり、犬の体を清潔に保つこともできます。しかし、尿路感染を起こしやすいというデメリットもあるため、よく獣医師と相談してみましょう。
・圧迫排尿
神経の麻痺により自力での排尿ができなくなってしまった場合、排尿を助けてあげなければ体内に老廃物がたまり、死んでしまうことがあります。そのため、「圧迫排尿」を行い、排尿させてあげましょう。
圧迫排尿の手順は次の通りです。
⑴陰部の下にペットシーツを引きます。
⑵下腹部をさわり、膀胱を探します。膀胱は膨らんだ風船のような感触をしています。
⑶手でやさしく膀胱を圧迫します。あまり強く押しすぎてしまうと破裂の原因になるため、注意が必要です。
圧迫排尿は自力で排泄できない子に対しては非常に有効ですが、排尿障害のない犬に対して実施することは控えましょう。尿が腎臓の方へ逆流することで腎炎や慢性腎臓病の原因になったり、膀胱破裂を起こしてしまったりすることがあります。実施する場合は事前に獣医師の指導を受けましょう。
・圧迫排便
排便機能が麻痺してしまった犬に対しては圧迫排便が有効です。
圧迫排便の手順は次の通りです。
⑴おしりの下にペットシーツを敷きます。
⑵腹部を頭側からお尻側に向かうようにして優しくマッサージします。
⑶便が降りてきて肛門が膨れてきたら、尻尾を持ち上げます。
⑷指で肛門をつまみ、便を優しく押し出します。
圧迫排便も最初はコツがつかみにくいため、事前に獣医師の指導を受けるようにしましょう。
・去勢手術
排尿障害や排便障害の原因が前立腺肥大症で、まだ全身麻酔に耐えることができるくらいの体力が残っている犬の場合には去勢手術が有効です。去勢をするとホルモンバランスが変化し、肥大した前立腺が収縮することで通常通りに排尿や排便が行えるようになります。
・会陰ヘルニアの手術
会陰ヘルニアが原因の場合、手術によって治療が可能です。手術では隙間の開いた部分をメッシュで塞ぐ処置を行います。同時に去勢手術を行い、再発を防止します。
トイレのトラブルを予防する方法
老犬になり排泄の介助が必要になると、犬だけでなく飼い主様の負担もかなり大きくなるため、予防がとても大切です。健康なうちに去勢手術を行なって前立腺肥大や会陰ヘルニアの予防を行ったり、適度な運動をさせて足腰の筋肉をつけさせたりするなどをしておくと、将来の排尿障害を防止できるでしょう。